曇り空のCDGに降り立ってゲートまで走っていると、みぃこが「うさぎ!」と言う。見ると滑走路脇の芝生にほんとにうさぎがぴょんぴょんしてて、目が慣れるとそこらじゅうにいる。こういうふうに「湧く」ようなウサギを見ると、って別に他じゃ見ること無いんだけど、と考えたところで以前CDGに降り立ったときもウサギだ〜って思ったことを思い出しながら、とにかくそれで思い出すのは、ルノワールの『ゲームの規則』の狩りのシーンで、追い込み漁と言うんだっけ、音を出して網に魚を追い込むように木の棒で木を叩いて森の小動物を追い込んで鉄砲で撃つのだけど、そのように追い込まれる小動物の多さ豊かさに、失われた「貴族的なもの」を重ねて貴族だったためしもないのにため息がでていたのはもしかしたら間違いだったのかもしれなくて、モンマルトルでみぃこの作ったエプロンを店に置いてくれているトモヤンが「まだちょっと早いけど、狩りの季節になると、皮をひんむかれたうさぎが肉屋にずら〜っとならぶのよー」と言いながらだしてくれた、名前は忘れたけど野菜と一緒に煮込まれたlapinの料理を食べながら、あの瀟洒な林にカンカン響く音に追われてバラバラと飛び出してくる小動物のシーンはまだそのまま現実のものなのかもしれない、と、その朝までいたボルドー郊外の紅葉したブドウの畑のアップダウンのなかに教会を中心とした小さな集落が見える人気のない風景(思わず安野光雅が思い浮かんでしまうのがなんだか腹立たしい風景)のひんやりした空気をもう一度、二の腕から肩胛骨にかけて思い出しながら思った。
どこに行っても、どこに居てもおんなじだ。トモヤンのダンナのリベヤンのギター工房をでて、68番線のバス停まで送ってくれたトモヤンの髪の毛にのっかった雨ツブをみながら「またねー」と言った今朝はロクスケといっしょにおとなりのスズキさんのところへ行って帰朝報告をしてる。初冬の仙台のひんやりしたかぐわしい空気のテクスチャで検索されて透過的に重ね合わされて眼前に浮かぶあの場所この場所は、名前はなんであれ、「私の場所」だ。
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