2007年9月28日金曜日

今今と

今今と 今という間に 今ぞ無く
今という間に 今ぞ過ぎ行く


NHK教育「にほんごであそぼ」という番組の中に、
浄瑠璃風にいろいろな小説や詩の一説を「謡う」
コーナーがあるのだが、
(くるっと回る「床」(ゆか:太夫が浄瑠璃を歌う場所)を設けて、
太棹の伴奏を従えて、裃を着け、浄瑠璃の詞章風の抑揚で謡う)

今朝そのコーナーで謡われたのが上記の短歌。
教訓的なメッセージを含む「道歌」というジャンルの
一首であるらしい。


有名なものとしては

なせばなる なさねばならぬ なにごとも
ならぬはひとの なさぬなりけり

ってのが道歌だ。

(いろんな人がいるもので、
好きなひとが道歌を集めてた)


それにしても「今今と」の道歌、

今やります今やりますと言っているうちに
時は過ぎてしまうよ、と解釈すれば確かに
教訓的な歌だが、

むしろ、とらえようとした瞬間に
するするとどこまでも逃れていく
「現在」の目眩のするような
ありようを詠じたもの、と感じられて
朝っぱらから、ぞお〜っとした。


時間って「持続(ベルグソン)」ってより、瞬間だよね
って『瞬間の直感』で言った
バシュラールに聴かせてやりたいと思ったほどだ。


実際、過去も未来も仮構であって、
我々にとって「存在するもの」は
「今という間に」移ろいゆく
「今」しかないのである。

だからこそ、その仮構がふとはずれるとき
私たちは永遠に接続してしまう。

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